知ってるとも、金田さんは僕の伯父の友達だ。 二十三日に静岡で祝捷会があるからそれまでに間に合うように、至急調達しろと云う命令なんです。 御忘れになったら私しから御話をしましょう。 諸君、この顔にしてこの鼻ありと嘆ぜざるを得んではありませんか迷亭の言葉が少し途切れる途端、裏の方でまだ鼻の話しをしているんだよ。 令嬢の方でもたしかに意があるんだよ。 先方では博士の奥さんやら、車屋の神さんやら、二絃琴の天璋院まで買収して知らぬ間に、前歯の欠けたのさえ探偵しているのに、寒月君の方ではただニヤニヤして羽織の紐ばかり気にしているのは、いかに卒業したての理学士にせよ、あまり能がなさ過ぎる。 ――それでこれから力学的に第一の場合は到底成立すべきものでないと云う事を証拠立てて御覧に入れます面白いなと迷亭が云うとうん面白いと主人も一致する。 君のようにそう真面目に解釈しちゃ困る 寒月は思わず吹き出す。 ――何探偵？――もってのほかの事である。 すると存外うまく出来たんだ――あとで考えるとそれが災の本さねそれからどうしたと主人はついに釣り込まれる。 この先幾人出来るか分らん 学校へ出ても福地さんや、津木さんには口も利かないんだそうです。 その後鼻についてまた研究をしたが、この頃トリストラム・シャンデーの中に鼻論があるのを発見した。