もし人声が賑かであるか、座敷から見透かさるる恐れがあると思えば池を東へ廻って雪隠の横から知らぬ間に椽の下へ出る。 少しいつける方が薬ですよ、奥さんしかし顔の讒訴などをなさるのは、あまり下等ですわ、誰だって好んであんな鼻を持ってる訳でもありませんから――それに相手が婦人ですからね、あんまり苛いわと鼻子の鼻を弁護すると、同時に自分の容貌も間接に弁護しておく。 ハハハ教師は呑気でいいな。 すでに骨が出来る。 月並な西洋館もなく、模範勝手もなく、車屋の神さんも、権助も、飯焚も、御嬢さまも、仲働きも、鼻子夫人も、夫人の旦那様もない。 申すまでもなくそれはかく申す吾輩である。 焼芋を食うも蛇足だ、割愛しようとついにこの句も抹殺する。 何そんな手数のかかる事をしないでも出来ます。 教師たる以上はいかなる侮辱を受けても木像のようにおとなしくしておらねばならぬとはこの三人の期せずして一致した論点と見える。 知らんよ 鼻子はまた問題を改める。 いろいろ調べて見ましたが鼻の起源はどうも確と分りません。 あの娘がか 但しこの大抵と云う度合は両人が勝手に作ったのだから他人の場合には応用が出来ないかも知れない。