VT14 「外食の裏側」を見抜くプロの全スキル、教えます。

金に頭はさげん、実業家なんぞ――とか何とか、いろいろ小生意気な事を云うから、そんなら実業家の腕前を見せてやろう、と思ってね。 単に上級生の命令によって玉拾いなる雑兵の役を勤めたるところ、運わるく非常識の敵将、逆上の天才に追い詰められて、垣越える間もあらばこそ、庭前に引き据えられた。 桐はあるが吾輩及び主人家族にとっては一文にもならない桐である。 仮令垣を乗り越えるにしても知れないないように、そっと拾って行くなら、まだ勘弁のしようもありますが…… 一概に考えるとのぼせは損あって益なき現象であるが、そうばかり速断してならん場合がある。 人間の歴史は肉の歴史にあらず、骨の歴史にあらず、血の歴史にあらず、単に衣服の歴史であると申したいくらいだ。 大抵は上衣もちょっ着もつけておらん。 声はすれども姿は見えずと云う俗謡はとくに吾輩のために作った者ではなかろうかと怪しまれるくらいである。 人間も米を食ったり、鳥を食ったり、肴を食ったり、獣を食ったりいろいろの悪もの食いをしつくしたあげくついに石炭まで食うように堕落したのは不憫である。 これはやり損う事もままあるが、首尾よく行くとお慰になる。 和唐内は愛嬌ものだね。 君は始終泰然として気楽なようだが、羨ましいな 主人は肴をちょっと突っついたが、うまくないと云う顔付をして箸を置いた。 そこさ。