なるほどと再び座蒲団の上に坐ったなり懐手をして考え込んでいる。 せんだっては無闇にあるかせられて、足が棒のようになった 　言いつけられた時刻に、時刻がきたと注意しても、先方がその注意を無にする以上は、向をむいてうんさえ発せざる以上は、その曲は夫にあって、妻にあらずと論定したる細君は、遅くなっても知りませんよと云う姿勢で箒とはたきを担いで書斎の方へ行ってしまった。 女である以上はどうにか片付けなくてはならんくらいも承知している。 これは方法がわるかった。 途中で先生に逢ってさえ礼をしないのを自慢にするくらいの連中が、たとい三十分でも人並に坐るのは苦しいに違ない。 主人は鏡を見て己れの愚を悟るほどの賢者ではあるまい。 誰が来たんだと主人が聞くと学校の生徒さんでございますと御三は雪江さんの泣顔を横目に睨めながら答えた。 妙ですね 必然の勢をもって飛び込むにあらず、戸迷をして飛び込むのである。 手が出せないので、門をしめる事が出来ないから開け放しのまま行ってしまった。 未来の細君をもって矚目された本人へ文をつけた恋の仇とは夢にも知らず、やあと云って武右衛門君に軽く会釈をして椽側へ近い所へ座をしめた。 主人は黙読一過の後直ちに封の中へ巻き納めて知らん顔をしている。 学校の事かい