こんな幸福を豚的幸福と名づけるのだそうだ。 君も大分迷亭見たように呑気な事を云うね ああ杉原ですか、あの爺さんも達者ですね ごろつき手と云うのである。 いやそれでは御挨拶が出来かねますから、どうぞあれへ 自分ではベトヴェンのシンフォニーにも劣らざる美妙の音と確信しているのだが御三には何等の影響も生じないようだ。 だからこんな無意味な手紙でも何とか蚊とか理窟さえつければどうとも意味はとれる。 客があっても取次に出ないくらい心を置き去りにしているんだから大丈夫ですよ ええ 東風さんでしょう それ以来この机は決して寝台に転用されないようである。 人を人と思わざれば畏るる所なし。 ただ見てさえあまり気味のいい顔じゃない。 すん子はワッと云いながら口中の芋を食卓の上へ吐き出した。